診療案内

手術麻酔のご案内

概要

自治医科大学附属病院の手術は、年間9,800件、麻酔科管理が7,500件程度です。本院内にハイブリッド手術室、鏡視下手術専用室、ロボット支援手術専用室を含め21室、こども医療センター内に2室の合計23室のORを有し、これ以外にも血管内治療などは専用のセンターで実施しています。

各種センターとの連携がもたらす
幅広い臨床症例が経験できる

敷地内に救命救急センター、総合周産期母子医療センター、こども医療センター、血管内医療センター、周術期センターなどを連結・併設しています。このため、麻酔科専門医取得に必要な臨床症例は、他施設に赴くことなくすべて自施設内で充足できることが特徴です。 さらには、国内で実施施設が限られている肝移植、腎移植をはじめ、成人開心手術やTAVI、小児の先天性心疾患開心術やカテーテル治療、周産期麻酔、ダヴィンチ2台を使ったロボット支援手術(泌尿器、婦人科、呼吸器外科、消化器外科)、減量代謝外科手術(肥満手術)なども含め、最新の治療を含め幅広く手掛けています。豊富な症例数をもとに、小児麻酔などは他施設からの研修者も受け入れています。また、周産期センターは年間およそ500例の帝王切開手術があり、総分娩数は1,000例、現在は無痛分娩も行っています。自治医大麻酔科の専門医研修を終えた時、新生児から高齢者まで、妊産婦含め、定時手術から緊急手術まで、麻酔科医として必要なすべてを経験できることでしょう。

周術期センターによるPFM

現在は周術期センターも発足し、手術患者さんに対して入退院支援・薬剤・栄養・理学療法・歯科口腔・事務などの他部門が連携して患者状態を手術に向けて最適化する、いわゆるpatient flow managementに取り組んでいます。

術後疼痛管理チームの活動

周術期センターには、病棟看護師、OR看護師、薬剤師、臨床工学技士、麻酔科医を中心とした術後疼痛管理チームも配備し、痛みと合併症対策を講じて患者さんの早期離床とADLを取り戻すお手伝いを国内でも先進的に行っています。

ペインクリニック外来のご案内

ペインクリニック外来では、神経ブロックを中心として様々なアプローチによる痛みの診療を行っています。ペインクリニックの対象疾患としては、三叉神経痛、頭痛、頸肩腕症候群、腰下肢痛、帯状疱疹後神経痛、複合性局所疼痛症候群、手術後の痛み、がんの痛み、顔面神経麻痺、突発性難聴などがあり、院内の各診療科や近隣の医療機関と連携して難治性の痛みの治療を行っています。
当外来の特徴としては、超音波ガイド下神経ブロックを積極的に行っていることが挙げられます。従来のX線透視下ブロックと比較して、超音波ガイド下神経ブロックはより少量の薬剤で正確な神経ブロックが可能となっています。

また、難治性腰下肢痛に対するエピドラスコピー、スプリングガイドカテーテル(Raczカテーテル)は、内服治療や通常の神経ブロック、手術で治療困難な症例に対して良好な成績が得られており、全国から患者さんが集まっています。難治性の神経障害性疼痛の患者さんには脊髄刺激療法も行っています。さらに、当外来には鍼灸外来が併設されています。西洋医学的アプローチで治療困難な痛みに対して、痛みの治療に精通した鍼灸師と連携して、東洋医学的アプローチからも治療を行っています。

緩和ケア

当科では、ペインクリニック学会専門医、緩和医療学会認定医が、緩和ケアチームの一員としてがん患者さんの痛みのケアに関わっています。当科の緩和ケアにおける理念は、がんの痛みに対して可能な限り積極的に神経ブロックを活用するということです。がんの痛み治療の基本はモルヒネをはじめとするオピオイド鎮痛薬であり、近年の鎮痛薬の発展、適切な使用法の普及から、多くのがん患者さんの痛みを緩和することが可能となっています。一方で、オピオイド鎮痛薬のみでは十分に痛みが取れない患者さんや、副作用のために十分量を使用できない患者さんが1~3割ほどいます。

そのような患者さんに早期に神経ブロックを行うことで、全身の副作用を最小限にして良好な鎮痛が得られ、生活の質を保つことが可能となります。 腹腔神経叢ブロックやくも膜下フェノールブロックなど、X線透視を使用した古典的な神経ブロックの症例が多いですが、当科で得意としている超音波ガイド下神経ブロックやスプリングガイドカテーテルを使用した神経ブロックなど、通常であればアプローチが難しい部位においても積極的に神経ブロックを行っています。また、ご紹介いただいたものの、残念ながら神経ブロックが適応でない患者さんや、神経ブロックの効果が不十分であった患者さんに対しても、鎮痛薬の調整のお手伝いを行い、可能な限りの痛み治療を提供しています。 痛みの治療のみでなく、精神的、社会的、スピリチュアルなケアまで全人的ケアの観点からがん患者さんに寄り添っていきます。

ページトップへ戻る