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小児麻酔研修の魅力と体験談(大石高稔)

 私は、小児科専門医・救急専門医として、自治医科大学附属さいたま医療センター救急部に所属しております。医師9年目に、自治医科大学附属とちぎ子ども医療センター小児手術集中治療部に国内留学の形で赴任し、小児麻酔研修を受ける機会を得ました。

小児救急医を志す中で、小児への挿管や中心静脈カテーテル挿入などの手技を向上させる必要性を強く感じていました。また、小児集中治療や先天性心疾患に関する知識を深めたいとも考えておりました。とちぎ子ども医療センターのPICUは麻酔科医が管理しているという特徴があり、PICUだけではなく手術室でも多くの手技を経験できる環境が整っています。そのため、短期間で技術を磨くことができると考え、研修先として選択しました。

実際、1年3か月の研修期間で、さまざまな貴重な経験を積むことができました。最初の2か月間は成人麻酔を主に担当し、麻酔の一般的な知識と技術を習得しました。その後の3か月間は小児麻酔に重点を置き、小児特有の麻酔技術を実践的に学ぶことができました。残りの10か月間はPICUの病棟業務に従事しながら、小児心臓手術の麻酔や小児心臓カテーテルの麻酔を担当しました。

研修期間中に担当した麻酔症例数は202例にのぼり、そのうち6歳未満の小児麻酔が77例、先天性心疾患の麻酔が49例を占めました。胸腔鏡手術での気管支ブロッカーを用いた分離肺換気や、泌尿器科手術での仙骨部硬膜外ブロック麻酔、小児脳神経外科、整形外科、眼科手術の麻酔など、幅広い手術への対応も経験しました。また、中心静脈カテーテル挿入は手術室だけで33件行い、PICU病棟で実施したPIカテーテルやPICCカテーテル挿入などの手技も含めると、短期間で非常に多くの手技を実施することができました。これほど多くの手技を経験できる施設は、国内でも非常に稀だと感じました。

研修中、小児・先天性心臓血管外科や小児科循環器班の先生方と密に連携し、患者の病態について深く議論できたことが非常に印象的でした。術前・術中・術後のすべての段階でこれらの科の先生方と関わることができるので、先天性心疾患の管理について多角的な理解を深めることができました。特に、術式の選択や術後の管理に関する心臓血管外科の先生方の生の声を直接聞けたことは、他では得難い貴重な経験でした。

麻酔科医ではない私に対しても、どの先生方も優しく手ほどきしてくださり、学びたいことにフレキシブルに対応していただきました。この研修施設での経験は、私のキャリアにおいて非常に大きな財産となりました。小児麻酔や小児集中治療、先天性心疾患の管理に興味のある医師の方々には、ぜひこの研修を強くお勧めします。

自治医科大学附属さいたま医療センター救急科
自治医科大学附属とちぎ子ども医療センター小児手術集中治療部

大石高稔

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